ナットとネジ頭の精度検証と設計実用値の決定
ネジ穴の精度検証は前回に行いました。
ネジを止めるナットと頭の部分の計測と精度検証を行いたいと思う。これはケースなどを作る上でとても重要な要素になるものだと思うし、常に使うデータなので検証を行っておきたいと思います。
方法
六角ナットとホームセンターで販売しているM2、M2.6、M3の各種ネジの頭の部分が収まる雌型を光造形プリンタでサイズを少しずつずらして製作し、適合する寸法を決定しようと思います。特に断りのない場合単位はすべてmmとします。
六角ナットは規格表を参考に決めました。M2、M2.6、M3サイズのナットをS値を設計に用いてS、S+0.1、S+0.2の雌型を3種類、計9つ製作します。ナットの厚みは実測にて決定しM2(D=1.4)、M2.6(D=1.8)、M3(D=3.2)で決め打ちしました。
ネジ頭は直径実測値にて決めました。M2、M2.6、M3の実測の頭の直径はφ3.7、φ4.6、φ5.5でした。ナットと同様に直径、直径+0.1、直径+0.2で雌型を作ります。厚みも実測にて決定しM2(D=1.5)、M2.6(D=2.0)、M3(D=2.2)で決め打ちしました。これも3種類ずつ計9つ製作します。
CADソフトはAutodesk Fusion 360を用いて製作しました。ネジ穴径は前の検証記事の結果を用いて、ネジが通る大きさ(ビス止めが必要な径)であるM2(φ2.2)、M2.6(φ2.7)、M3(φ3.2)にて深さはD=3.0にて製作しました。六角はスケッチのポリゴンの外接ポリゴンでS値を与えて作図しました。
結果
M2 六角(D=1.4) | M2 ネジ頭(D=1.5) | M2.6 六角(D=1.8) | M2.6 ネジ頭(D=2.0) | M3 六角(D=3.2) | M3 ネジ頭(D=2.2) |
OK(遊び有) S4.2 |
OK(遊び有) φ3.7 |
OK(遊び有)S5.2 | OK(遊び有)φ4.6 | NG(入らず)S5.7 | OK(遊び有)φ5.5 |
OK(キツイ) S4.1 |
OK(キツイ) φ3.6 |
OK(キツイ)S5.1 | OK(キツイ)φ4.5 |
NG(入らず)S5.6 | NG(強く押込)φ5.4 |
NG(強く押込) S4.0 |
NG(強く押込) φ3.5 |
OK(キツイ)S5.0 | NG(強く押込)φ4.4 | NG(入らず)S5.5 | NG(入らず)φ5.3 |
行は上から各種の基準値+0.2、基準値+0.1、基準値です。
M2、M2.6の六角ナットとネジ頭ともにOK(遊び有)の実用値が得られました。またM3のネジ頭は実用値が得られましたが、M3六角ナットにおいてはいずれも入らず再度検証が必要となりました。「OK」な状態において深さDにおいても飛び出しているなどなく問題ありませんでした。
M3の六角ナットを規格表ではなく実測にてS=5.8を基準に行いました。
M3 六角(D=3.2) |
OK(キツイ)S6.0 |
NG(入らず)S5.9 |
NG(入らず)S5.8 |
S6.0でギリギリなのでS6.1程度が実用値として採用することとしました。
最終結果として実用値が以下のようになりました。
M2 六角 | M2 ネジ頭 | M2.6 六角 | M2.6 ネジ頭 | M3 六角 | M3 ネジ頭 |
S=4.2 | φ3.7 | S=5.2 | φ4.6 | S=6.1 | φ=5.5 |
D=1.4 | D=1.5 | D=1.8 | D=2.0 | D=3.2 | D=2.2 |
この数値を今後の製作物で採用していきたいと思います。